【バックナンバーシリーズ】円安の今こそ振り返ろう!2011年3月29日の記事


毎週日曜日はブログ、バックナンバーシリーズの日です。
スマセン、昨日は出張帰りで更新する体力が残ってませんでした。。。orz

以前のサーバに保存されている昔の記事で、今でも役に立ちそうなものを引っ張って改めて日の目に当てよう!

今日ご紹介するのは、2011年3月29日の記事です。

このブログを書いている3月28日(ちょうどブログから11年後)は1ドル=123円となっており、久しぶりに見る円安水準です。ちなみに元ブログ執筆時はおそらく1ドル=83円前後だったと思われます。

昨今のレザークラフト界隈におけるインポートレザーの普及によるものや、もちろん国際的な原皮価格などレザークラフト業界も為替とは割と近いところで結びついておりますので、少し古い記事にはなりますが、為替と革の価格、我々の手元に革が届くまでどう言った市場原理が働いているのかご紹介します。

それでは2011年3月29日の記事

革》ヌメ革・タンロー値上げします&円高なのになんで革って高いの?

序文:バックナンバーシリーズとは?

 

Phoenixはここでブログを2014年から書いていますが、実はそのもっと前から他のサーバで書いていました。訳あって現在のサーバへお引越ししましたが、1400ほどあった旧サーバの記事はお引越しできず、そちらのサーバに置きっ放しとなっております。
(旧サーバのブログはこちら

現在でも古いブログはご覧頂けますが、別サーバの記事なのでブログ内検索などでは引っかかりません。

有益な情報がたくさんあって、とってももったいないなー、と日々思っていたので、これから少しずつ【バックナンバー】としてこのブログ用に再編して掲載していこうと思います。

古い記事の引用となりますので、表現が古かったり今ではもっと便利になっていたりしますが、これは当時のまま載せようと思います。

他にも価格が当時と異なっていたり、登場人物がすでにPhoenixを去った人だったりしますが、こちらは誤解を避けるためにも、ご本人への配慮もあり伏字や編集したものとさせていただきます。

予めご了承ください。

本文1 11年前の価格改定のお知らせだよ

※こちらの引用文は11年前のブログの引用となります。
当時の価格改定のお知らせですので、現在とは価格や商品展開とは異なりますのでご注意ください。

当店の主良品であるヌメ革とタンローですが、値上げすることになりました。

当店のヌメ・タンローは栃木皮革製(編:※2022年現在は昭南皮革製)なのですが、以前から値上げという話は出ていました。
現状の在庫が切れ次第新価格に移行します。

ヌメ革⇒95円
タンロー A品⇒105円
タンロー B品⇒100円

AとBは表面の傷の違いです。
詳しくはこちらのタンロー説明blogを御覧ください。

本文2 ここから為替と革のお話 円高なのに革は安くならないの?

(※編集註:あくまでPhoenixとうちの社長での立場での話です。目線が違う、実態が違うということもあります。ご留意ください。また誤りについては立場を明かしてコメント欄でご指摘ください)

「ねぇ、店員さん、円高で革の元となる『原皮』も安くなっているはずなのになんで値下げされないの??むしろなんで値上げ?」

そういやなんでだろ、、社長なんでですか??

「円高で原皮を仕入れる価格は下がっている、と思うだろうが実際はそうじゃない!
中国や韓国が原皮を仕入れる量がどんどんと増えてきている。そうすると日本は『安かろう悪かろう』という原皮よりも『高くてもいいからいい原皮がほしい!』と主張して仕入れている。

革の良し悪しってのは技術だけじゃない。最初の『原皮』がどれだけ綺麗かにも左右される。『技術』と『原皮』、この2つが高みにないときれいな革ってのはできないねん。

で、そうなると諸外国と競争して高値つけて原皮を仕入れている。
だから円高になっても原皮を海外から仕入れて国内で作っている革は安くならないねんな。」

ってことは海外産の革は円高で安くなるの?

「海外から仕入れている革は円高によって安くなっているやろうなぁ。
でもこれも他の国が『日本より高値つけるからイタリア~ンないい革をうちの国にまわしてくれ!』ということになったら外国産の革でも高くなるな」

昔はな、日本も原皮をばんばんと仕入れていた。
で、それを鞣して『皮』から『革』にするわけだ。例えば原皮1000枚入ってきてその中で一級品から三級品に分かれる。で材料革がほしいお客さんや業者さんが

「一級品を100枚、二級品を300枚、三級品を600枚」

と購入するわけだ。

これが原皮輸入量が1000枚から500枚になったとする。そうなるとお客さんや業者さんが「一級品を100枚、二級品を300枚、三級品を600枚」から単純に50%減「一級品を50枚、二級品を150枚、三級品を300枚」になるか、といわれるとそうじゃない!

「一級品を100枚、二級品を200枚、三級品を200枚」

みたいな感じになるな。一級品の革の取り合いや!」

それはなぜ??

「原皮が減る、というのは別に『海外のかばんメーカーさんなりがバンバンと革を購入する>海外の革屋さんやタンナーさんがバンバンと購入するから』というのが主因ではない。

『日本国内のカバンや靴メーカーさんが国内でカバンや靴をつくらなくなった&メーカーさんが淘汰されて減ってきている>日本国内で革を調達しなくなった>日本の革屋さんがジリ貧>タンナーさんも原皮を仕入れなくなった』

これが大きな要因。ようは『需要が減ったから供給が減る』というわけだな。
さて、じゃぁさっき言っていた『一級品の革の取り合いや!』という説明だ。
日本国内のカバン靴メーカーが淘汰されたとしても『高くてもいいものがほしい!』という最終消費者層の全体数はそれほど減らない。そうなるとメーカーさんの『高くてもいいからいい革がほしい』という層も減らないわけだ。
で、結局『一級品の原皮ばかりの需要が高まり三級品の需要が減る』となる」

じゃぁ一級品の原皮ばかり仕入れたらいいんじゃないんですか?

「そこが革、というものの難しいところだ。
革は『一級品ばかりちょうだい!』といって入るものじゃぁない。
原皮は一級品と二級品と三級品とが混在するものや。『高い金出したら全てが一級品!』というものじゃないからな。そんなことしていたら原皮商売している人は三級品ばかりが在庫の山になってしまう。」

むずかしいなぁ~

「革という素材はビニールなどとは違い生物から頂いているものだからな。
生物に個体差があるのは当然やろ?
人間が革にあわせて行動せないかんねん」

円高だからモノの値段が安くなる・高くなる、じゃない。モノの値段を決めるのは需要と供給、というおはなしでした☆

メーカーさんがつぶれると結果的に全ての関連業者が困ってジリ貧になるよ、というおはなしはまた後日しましょうかね。悲しい事例話もありますので。。。

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