新たな取り組み【ブルハイドレザー】


さっそくですが・・・

あ、ちなみに私、元革担当の横井です。
最近は新革担当の森に業務を託して、会社の奥で(窓際ではない)
ネットがらみのお仕事に精を出しております。

今日のお話は革に関するお話です。

新担当の森に託してもよかったのですが、
この件だけはどうしても私がやり切ってしまいたかった。
どうしても自分が関わってPhoenixとしてこの革に取り組みたかった
という思いが強くありましたので、
元革担当という立場ですが、やらせてもらいました。

なんだかハコモノ建てたがる政治家さんみたいで嫌だな

でも、それくらい思い入れの強い革だ、ということだけご理解いただければと思います。

で、その革というのが「ブル」です。


写真と本文はあまり関係がありません

 

ブルってどんな革?

 

先のイラストはブルドッグなので、あまり関係ありません。すいません。
今回は「ブル」です。

その前に整理しておきますが、
ブル……種牛
ブルハイド……ブルを鞣した革
です。

で、ブルって何ぞや、の方にご説明いたしますと、この業界ではブルハイドと言い、いわゆる「種牛革」を差します。

去勢していない雄成牛の皮。この塩生皮重量は通常75~100ポンド(34~45 kg)で、皮の特徴は頭、首、肩部が極めて厚く、線維組織は粗剛である。アメリカの雄成牛の皮には焼き印の有るものとないものがある。 --皮革用語辞典より

当たり前ですが、革の元になる牛さん達も生き物ですので、生まれてくるためにはお父さんとお母さんが必要です。そのお父さんですね。
一般的には種牛は生育頭数が少なく400頭に1頭とか800頭に1頭とか、いろんな説があるようですが、
いずれにせよ生育頭数がすごく少ない革=希少な革と言えるのではないでしょうか。

 

また、種牛なので当然去勢をされていません。
一般的なステア(成牛)は生後6ヶ月頃までに去勢がなされますが、ブルは付いたままです。
これは私の想像ではありますが、付いてる方がなんか元気いっぱい、暴れん坊なイメージなんですが、
ブルハイドは傷が多いと言われていますので、あながち的外れでもないと思います。
なんしか小傷が多いんです。

 

傷は多いが風格がすごい!ブルの特徴

 

なんだ、小傷が多いのか!使えねえなあ!

と、一昔前は言われていて、ブルの革はその丈夫さや厚さからもっぱら工業用革や靴底用革として使われてきました。

しかしこの革の面白さに気づいたタンナーさんが、
あえてこの革を一般材料革として鞣し、仕上げをされました。

それがこちら。

 

 

 

 

 

 

どどーん!

 

 

 

 

 

 

タンナーさんにサンプルで送って頂いた革なんですが、
この風格!

厚みが8ミリくらいあるんですが、
この厚みがある故のこのシュリンク!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風格、という言葉がしっくりくる佇まい。

これで日本製!(もちろん原皮は北米産ですが)

これはもうやるっきゃ騎士!(やるっきゃないと と読みます)※分からない人はお父さんに聞いてみよう!

と思い立った次第であります。

閑話:工業革って?

 

さきほど話にでた工業革について話してみたくなったので話します。

レザークラフトをやられている方や一般の消費者さん達にとって
「レザー」といわれて想像するものってどんなものでしょう?

Phoenixでも販売している革素材や、革製品としてアパレル店や百貨店に並んでる綺麗な革などではないでしょうか。

もちろんそれも正解ですが、
そういった表舞台とは違う場所で消費されている革が世の中にはあります。

工業革はその最もたる例だと思います。

 

革という素材は昔から様々な場面で重宝されてきました。
しなやかで、強く。熱にも耐久性がある。
その特性を活かしてかつて工業用ベルトの素材として活躍していました。


昭和26年シチズン時計工場(出典:http://www.kodokei.com/ch_014_3.html)

戦中、戦後まだまだ物が無かった時代、
工場ではこの写真の様な光景がよく見られました。

少し見にくいですが、天井からたくさんのベルトが伸びています。

これは1つの動力源から伸ばしたパイプ上に輪っかにしたベルトを引っ掛けて
その下の機械を動かしている様子です。

このベルトの素材としてたくさん革が使われていたのです。
工業用ミシンをお持ちの方は、モーターとミシンのプーリーがゴムベルトで
連結されているのをイメージされると分かりやすいかと。

その他にも、パッキンや紡績工場のピッカー(糸が通るガイドのようなもの)など、
様々な工業革がありましたが、
現代に於いてはその多くが合成素材に取って代わられてしまいました。


紡績工場で実際使われていたピッカー(糸のガイド)

前述の通り、ブルは厚みがあり、銀面が綺麗ではなかったので、
こういった工業革として消費される事が多かったと聞いてます。

現代においても、様々な場所で活躍している工業革。
これだけ様々な技術革新がある中で、革じゃないと、というのは
嬉しい限りです。

 

さてここからがスタートです。

 

閑話休題。

先ほど写真を載せたのはタンナーさんが持っていたサンプルです。
なので、さぁこれからブルでどんな革を作ってもらうか!という

革担当として一番楽しくも、ずっしり責任感がのっかる話がはじまります。

このブルの特性を生かしつつも、
皆様の製作のお役に立てる様な革に仕上げていくわけですが、

1回の試作で上手くいく事なんて今まであった試しがありません。

何度も何度もタンナーさんと話し合い、試作し、あーだこーだと議論し、
試作し、仕上がった物に首を傾げ、また話し合い、を何度も繰り返すことがほとんどです。

とくに今回はブルという私にとって初めての素材なので、
不安8割うきうき2割ではありますが、
その2割のうきうきの先にみなさんの笑顔を想像し
やり切りたいと思います( •̀ω•́ )و

 

ブル完成までの道のり投稿し続けます

 

そんなわけで、今日はこの辺で筆を置きます。(筆持ってないけど)
これから全何回になるか分かりませんが、
ブル完成までの道のりを都度投稿していこうと思います。

先ほども書いた通り、8割不安ですので、
このブログみてるよー!頑張って!
のお声がけが私の原動力でもあります。

そして試作品の限定販売なんかもやろうかともくろんでおりますので、
暫くの間、お付き合い頂ければと思います。

なにとぞよろしくお願い致します。

 

最後ですが、ブルの豆知識。

ブルとして選ばれるのはどんな牛さんか。

専門家に聞いたところそれは睾丸の体積比率が大きい牛さんだそうで。

え!?じゃあタマタマが小さな牛さんは?

「全部去勢だよ」

なんだか聞いてると股間がキューッとしてくる横井でした(´;ω;`)ブワッ

 

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