Brotherのスキャンカット SDX1200と1000で革のものづくりがもう一段階先に行けそうだ、という話


タイトルを「ものづくりのパラダイムシフトに出会った」とか「ファミコンからスーパーファミコン・PCエンジンに変わった時くらいの衝撃」とか「windows95が発売されたレベルの衝撃」などなど色々考えたけど、「物心ついたとき遊んだのはPSでした」とか「95年ですか。私が生まれた年ですね」とか「パラダイム・シフトってなに」などで心が折れました。( ´ー`)y-~~

で、スキャンカットSDXシリーズですけどものすごいです。プロアマ趣味問わず、ものづくりをしている人ならば全員買うべき品です

SDX1200 | カッティングマシン | ブラザー

 

カッティングプロッターってなに?

カッティングプロッターは紙や布を切るための機械です。ペーパークラフトやスクラップブッキング、ステッカーの世界で使われた機械です。上代が4万、5万前後くらいでした。

で、これがあると自由に紙を切ることが出来る、というものでした。もちろん革や分厚い紙などは苦手としています。

それでもスクラップブッキングや紙の世界ではそこそこ売れている品ではありましたが、上記の趣味やっている人以外にはあまり知られていない工具ですね。

昨年秋に出たSCANCUT SDXシリーズがものすごい

先日ビックサイトのハンドメイドメーカーズに出た際にホビーショーをふらふらと見学。で、ブラザーのブースで見かけたのが今回ご紹介のSCANCUT SDXシリーズ。

とりあえず動画を見てもらうとして、何がどうすごいのか、を従来品との差異も交えて解説してみましょう

従来との違い モーターが違う

動画見たら静かに動いているな、と思うと思いますが、従来品はもっとガチャガチャとすごい音がしました。夜中には絶対使えないレベル。

従来との違い スキャンが出来る

数年前に家庭用のカッティングプロッターをいじくったのですが、データと実物の位置合わせは定規を片手にミリ単位で考えました。

で、こちらのシリーズは一度スキャンした後に本体付属の5インチモニターに映し出し、タッチパネルでデータを移動できます。

このおかげでシャドウボックスが作りやすい作りやすい
(シャドウボックス=写真や絵画を層で捉えてちょっとずつずらして奥行きを表現する工芸品)

 

従来との違い 刃が自動で厚み調整をする

家庭用のカッティングプロッターは「ベタベタのシートに紙を固定して、裁断中もずれないようにして裁断する」というものです。

刃は従来品は自分で調整しました。そのため「ちょっとだけ刃を出してカットしよう。。あ!実際にやったらシートを切り刻んだ!」or「刃調整したけど、紙がちょっどだけしか切れていない(;・∀・)」ということもありえました。

が、今回の品は裁断対象物とシートの高さを自動で検知し、マックス1mmずつ裁断してくれます

 

自動調整機能のおかげで3mmまで裁断可能!

上記の自動調整機能のおかげで分厚いものをマックス3mmまで裁断してくれます。3mmでしたら1mm×3回で全く同じ部分を裁断してくれるわけです。

ですが、恐ろしいことに硬い革3mmならば5回、柔らかい革ならば3回で裁断してくれました。

おそらく、裁断するたびに「シートから裁断された部分の厚みをいちいち検知」していると思われます。
柔らかい革ならば「1mmずつ裁断しますから、1回裁断した後に確認、2mmですね。それなら予定通り後2回で裁断」と判断。硬い革ならば「厚み3mmだから3回裁断で終わると思いましたが、1回裁断後に厚みを調べたらい裁断部分は2.4mmしか裁断されていませんでした。ですので5回同じ部分をなぞります」と判断してくれます。

これがものすごい機能です。

ただ、試してみましたが裁断物が物理的に3,2mm程度までしか入りません。5mmまで切れたら面白かったんですけどね。

スキャンで自動的に裁断部分を検知

本体のみでもメリハリのきいた図形でしたら自動で裁断線を判断してくれます。
下記はカレンダーを切ったものです。

PCでもデータ作成ができます。

事前に考えられる質問

連休中に色々色々いじった上で出そうな初期の質問を書いておきます。

大きさどれくらい?

55cm×20cm×25cmほど。A3プリンターと同じくらいです。

イラストレーターなどが使えないとデータって作れないんでしょ?

データはSVG形式です。

イラストレーターで作成可能ですが、inkscapeというフリーソフトでも作成可能です。
付属ソフトで型紙など作れるかな、と色々いじりましたが「無理」という結論が出ました゚(╯°□°)╯︵ ┻━┻ 角のR設定ができない時点でそこまで細かいデータ作成は無理と割り切りましょう。

型紙作成レベルならばそれほど難しくないですね

InkscapeでDesign – Inkscapeの使い方 – もくじ

・月影先生のシャドウボックスは8インチタブレット+フリーのアプリ「scketch」>brotherの付属ソフトだけで作っています。

どの素材まで切れる?

裁断の原理ですが、「カッターを素材に突き刺して押し進める」という考え方です。ミシンのように上下運動しません。
メーカー推奨はプラ板ならば0.2mmまで、革ならば3mmまでとあります。

100円ショップで売っている0.75mmPPシートは切れないことはないですが、苦手ですね。

革も背中と腹では背中部分は頑丈なので切れ味が落ちます。
革もヌメ系は植物タンニンが中に入っていますので裁断中に不可が高いです。バングラ系は特に薬剤の問題で刃に負担でかいですね。

オイルが入っている革はしなやかなので得意です。

腹部分は繊維がゆるいため切れ味がスッパリとしていません。

材木や金属系は諦めてください。金属は手で破れるものならば行けるかな、と思います。アルミホイルレベルですね゚(´・ω・`)

分厚いダンボールも空間が空いており、裁断時にずれやすいためちょっと苦手です。薄めのダンボールは得意ですね。

穴は開けられる?

直径2mm以上まで開けられるとのことですが、あまり小さな穴は刃が痛みやすいかと。
穴に関しては別売りオプションのマルチペンホルダーを使って穴を開ける目印だけ書いてもらう、というのも手かな、と思います。

刃はどれくらいまで切れるの?

替刃は2000円。紙ならば公称2000mまで切れるとのことです。
ですが、革ならば「硬いので5回なぞります」という機能ばかり使っていたら2000/5で400mまでしか切れないですね。

でもたかだか2000円ならば格安かと思います。下記刃型を作ろうと思ったら10万かけても無理だと思いますので。

大きさはどれくらいまで切れるの?

付属のシートで30cm×30cm。オプションシート4000円を使えば30cm×60cmまで切れます。オプション品のロールフィーダーを使えばロールステッカーは延々と切れます。

レーザーカッターがあるから良いんじゃない?

レーザーカッターとは出来ることが異なります。レーザーは革のコバ面が焦げる、という致命傷がありますので「裁断」という機能だけで考えると比べる行為自体が間違いかな、と思いますわ。

で、知り合い曰く

レーザー加工機検討されてる方へ参考までに。
革のレーザー加工は煙、悪臭あります!住宅地では控えた方が、、(基本的クロム鞣しは加工出来ません)
メンテナンス必要不可欠!煙で汚れたレンズ清掃、光軸調整(難しい)、その他。
加工CADデーター作製も必要です。

今回の機械!上記の事がないなんて素晴らしい!

とのことです。

これがあれば刃型いらない?

刃型屋さん「ムラキさんがあの機械をfacebookで紹介していたからもう刃型使わないと思ったよ」

多分日本でもトップ10に入るくらいに「刃型が好き!」と言っている私が刃型使わないってことはないなぁ。

この機械と刃型は方向性が違います。量産性や速度に関しては刃型のほうが圧倒的に早いです。
細かい細工に関してはこの機械の方が圧倒的に上ですが、その分刃は消耗しますし、時間もかかります。

工具はどちらが上下、という問題ではなく、「どの工具をどのように使うか」というだけでしかないですわ┐(´д`)┌

何が出来るの?

応用性が高すぎて色々なことができます。下記の用途で自分用で3つ、嫁さんお子さん用に使える用途が2つ思いつけば購入しやすくなりますぜ(*´ω`*)

・薄いプラスチックやマスキングテープを切り抜いて染色のテンプレートを作る
・マスキングテンプレートが作れるならばネイルをやる際に使い捨てのテンプレートも作れる
・テンプレートがあればお弁当作る際にハートや星の形に桜でんぶをご飯にかけることができる
・自分の名刺にワンポイントで切れ込みを入れられる
・ペーパークラフトの折れ込み線を入れる
・厚紙を切って机内整理の小箱を延々と作る
>イラストの入った小箱を作る(従来はめんどくさいんだ、こういう箱作るのは。印刷してから箱の形に切り取れる、はかなり便利で応用性高い)
・ハーフカット機能があるのでシールが作れる
>この応用でカメラの貼り革も作れる
・車やバイクのステッカーが作れる
>別売りロールフィーダーを使えば2mでも3mでも作れる
・革のパズルが作れる
>刃型とちがいテーパーがつかないのでパズルや象嵌細工は得意
・推しのうちわが作れる。ジャニーズでもakbでも思うがまま
・パッチワークのパーツを大量に作る
・布も切れるので人形の洋服も作れる
・うちの社長は「釣りのルアーで小さなパーツ作れる」と
・幼稚園などは子供の飾り付け品を大量に量産できる
・プラモデルのデカール作成が容易
・ステンシルフォントを使えばフォントテンプレートが作れる
>ステンシルフォントは切れ目がない文字。テンプレート作れるのは応用性がものすごく広いです。
・ペーパークラフトや革のキットが作れる

菱目打ちを入れるガイド穴付きのパーツが作れる

例えば、下記のデータを使えば縫い穴が空いた革パーツを作ったり、菱目打ちを打つためのガイド入りのパーツも作ることができます。

カービングのカッティングラインも切れる

裏技的な使い方ですが、「3mm厚の革を2回なぞった時点で機能を停止」することでカービングのカッティングラインを入れることができます。

曲線部分は自分の手で入れるためのガイドラインとして薄く切れ込み線を入れ、外周の枠部分だけしっかり切れ込み線を入れる、ということも可能です。

マルチペンホルダーを使えば棒状のものを使える

・刃の代わりにボールペンも使えますので、インクのでなくなったボールペンを使うことでカービングのカッティングラインを革に写し取ることもできます。
・尖った棒を使うことで縫い代線を入れる
>試していないんですが、プラスチック板にケガキ線入れられる、はず。

SDX1000と1200の違い。何が出来るの?

SDX1000とSDX1200があります。

違いは下記2点
・模様などの内蔵データ量の違い
・スキャン範囲の違い

データ量の違いは微々たるものです。
スキャン範囲の違いはちょっと意味があります。
SDX1000はスキャン範囲は30cm×30cm。SDX1200は30cm×60cmまでスキャン可能です。

どちらも60cmまで裁断可能なのですが、スキャン範囲が異なるわけです。
どういう時にこの機能の差異が影響するかと言うと

・55cm×10cmの革を50cm×5cm切る時にSDX1000だとスキャン不可なため、データの位置合わせが困難
・ないと思うけど、「25cm×50cmの蛇のイラストの外枠3mmきっかりを1mmもずらさずに裁断したい」という際にsdx1200はものすごく便利

というくらいです。

私個人はSDX1200を買いました。後に「あぁ、1200にしとけばよかった!」と後悔する可能があるならば、と思い2万円弱ほど高いSDX1200にしています。

 

どこで買える?

SDX1000は楽天なりアマゾンなりで7万ほどとなります。
SDX1200は楽天でもアマゾンでも取扱ありません。家電量販店でも取扱不可です。

SDX1200に関してはブラザーの代理店保護のために許可した店でしか販売できないようです。(´・ω・`) また、値段も公開されておらず、ネットでも販売されていません。SDX1200がほしい方は直接お店に行ってね、という恐ろしいシステムです

SDX1200取扱店 | 家庭用ミシン | ブラザー

具体的な金額を言ったらいけないらしいですので「10万あればお釣りがドカンと来る」と思っておいてください。

購入時にこれは買っとけ

金属製のスパチュラ&フック(2000円)とマルチペンホルダー(2000円)は買っておいて損はないと思われます。金属製のスパチュラは細かい掃除に便利です。マルチペンホルダーは9.6mm~11m幅のペン状のものを保持できるので色々と応用性が高いです。

購入特典は?

下記のお店は個人的にオススメしておきます。今回購入に際し色々お世話になりましたわ。

東京 カッティング&プリントのユーロポート SDX1200、1000両方取扱
兵庫県 兵庫県宝塚市 ミシンのフジモト -創業1934年こだわりのミシン専門店  現状SDX1200のみ
ミシンのフジモト – ホーム 問い合わせはfaceboookからのみと思っておいてください。あまりネットが得意でもないそうです。それかもうtelかけてください、とのことです。

上記の2店舗はご購入の際はメールにて問い合わせしてみてください。「フェニックスのblog見ましたがお値段いくらですか」なり聞いてみてください。

上記2店舗で振込でご購入いただき、「ムラキさん!上記店舗で購入したよ!」と言ってくださればデータ作成のコツや上記フリーソフトinkscapeでの型紙の作り方、シャドウボックスをどう効率よく作るか、などのムラキ個人の知識ならばお教えします。どんなソフトを使い、どう使うか。どんなアプリを使えば楽にできるか、などを教えます。

 

過去の関連blog:


Brotherのスキャンカット SDX1200と1000で革のものづくりがもう一段階先に行けそうだ、という話」への4件のフィードバック

  1. 革村

    いつもブログ拝見させていただいております。
    この度、初めてコメントさせていただきます。

    腕時計用の革ベルトを作りたいと思い、現在試行錯誤しております。

    こちらのページで紹介されているSDX1000、1200を使って、1〜1.5ミリ厚くらいの革(タンニンなめし)を裁断した場合の切断面は、コバを塗るのに適した状態なのでしょうか?

    表、裏1ミリ厚、中材2ミリ程度で考えているのですが、金型で抜いたものの方がやはり断面はきれいなのでしょうか?

    コバ処理は素人であればあるほど切断面によって大きく仕上がりがかわると痛感しており、こちらの機械を使った場合どうなのかなと思い質問させていただきました。

    使用感を教えていただけるとうれしいです。
    よろしくお願い致します。

    返信
    1. l-phoenix 投稿作成者

      すいません!コメント見落としていました。

      > こちらのページで紹介されているSDX1000、1200を使って、1〜1.5ミリ厚くらいの革(タンニンなめし)を裁断した場合の切断面は、コバを塗るのに適した状態なのでしょうか?

      あぁ、刃型や人間の裁断と違い完全に垂直面が出ますのでコバ処理としては適しています。
      例えばパズルのパーツを裁断すると完全にきっちりと一致します。

      >表、裏1ミリ厚、中材2ミリ程度で考えているのですが、金型で抜いたものの方がやはり断面はきれいなのでしょうか?

       4枚を接着して裁断は不可能です。3mm厚が限度ですので。3mmといっても硬さやハリコシなどによっては2,5mm限度かな、とおもいます。
       バラバラに裁断してもきっちりと寸法はあいます。ただ、これを全くずらさずに接着が難しいですね。

      返事が遅くなり誠にすいません。

      返信
  2. 増田紀洋

    本日SDX1200を購入いたしました。パッケージも開けておりませんが、このページを拝見して、タブレットを使ってマシンを使っておられる事を知りました。タブレットからの操作はどの様にすれば出来るのでしょうか。当方アイパットプロを使用しております。

    返信
    1. l-phoenix 投稿作成者

      こんにちは、ふぇにっくすのムラキです

      タブレットを使って操作しているわけではなく、もとのデータ作成時にandroidアプリで作っています。(apoleさんのアプリに関しては全くわかりません。)
      タブレットのアプリでデータ作成はできますが、
      ・型紙のような厳密なデータは作れない
      ・あくまで絵があり、その曲線をなぞる
      というレベルだと思ってください。直線をきっちりなぞるは苦手ですね。その場合はPCで作ったほうが効率はいいです。

      私の環境は下記のとおりです。

      > 月影先生のシャドウボックスは8インチタブレット+フリーのアプリ「scketch」>brotherの付属ソフトだけで作っています。

      お住まいがどちらかわかりませんが、9/26-28に素材博覧会横浜に行き、28日にScanNcutのセミナーでもやろうかな、と思っています。興味あれば下記サイトからまたお尋ねください。

      19.9/26-28(金土日) 革日和ブース出展 in 素材博覧会 横浜 INKs 参戦!4社による展示会 | 本日は革日和♪ http://ccrui.sakura.ne.jp/kawabiyori/archives/5944

      返信

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