革の『 ds/デシ』とは?【これで革の買い方も分かる】


こんにちは、よしかわです。

突然ですが、あることに気付いたんです!

衝撃の事実です!

Phoenixのオンラインショップには『ds』についての説明がなかったんです!

店頭で初めて革を購入される方にはきちんと説明してきたのですが、オンラインショップにはそれがない。

多分、オンラインショップで革を販売していてdsの説明をしていないのはうちぐらいじゃないかな(苦笑)

ホント恥ずかしい (-_-;)

で、オンラインショップにdsの説明を載せるための下書き的なものをここに書きたいと思います。

ここに書いておけば、きっとやまねさんがいい感じにまとめてオンラインショップに載せてくれるはず!

ということで、

これを読んでくださる方は「今更DSって(笑)」という方が9割以上だと思いますがw

できる限り深掘りしてみたので、「1ds = 10cm × 10cm」と丸暗記してる方は是非お付き合いください!

もし、これから革を買ってみようとしてる方は絶対にお付き合いください!笑

 

 

『ds(デシ)』とは、革の面積を表す単位です。

革を買おうと思った時、まず知っておかないといけないのが、『DS』『ds』と表記される革の面積を表す単位。

『デシ』と呼ばれ、「デシ」「DS」「ds」と表記されます。

たまに店頭に来られるお客様で「デジ」とか「デシベル」っていう人がいますが、革の面積の単位は『デシ』と呼びます。これは、お客様が悪いんじゃなくて、革がまだまだ一般の人に浸透してないだけですね。

カタカナ、アルファベットの大文字、小文字の区別は特にありません。販売業者さんによって色々です。

なぜ『DS(ディーエス)』を『デシ』と呼ぶかは後ほど説明します。

ちなみに、Phoenixでは、『DS』と大文字で表記していますね。

 

 

1dsの大きさは「10cm × 10cm」?

次は1DSの大きさですね。

「1DSの大きさは?」と聞くとほとんどの人が

「10cm × 10cm」と答えます。

現に僕もPhoenixに入った時にそう教わりました。

でもこれって間違ってはないけど十分ではないと思うんです。

で、ここにdsの本質にたどり着けない原因があります。

大したオチにはなりませんが、これも後ほど解説します。

ここではひとまず「10cm × 10cm = 1ds」でよしとして次に進みます。

 

 

革の価格の計算方法

で、この1dsの単価が革ごとに決められています。

そうです。「ds単価」ってやつですね。

革は同じ種類であっても、大きさや形状が異なるため、

1枚の革の価格を算出する際には、

『総面積(DS)×  ds単価(円)= 1枚の価格(円)』

という計算をしています。

 

ds単価が ¥120 で、大きさが 215DS であれば、

215ds × ¥120 = ¥25,800-

となります。

 

これから革を買ってみようと思ってる方も、ここまで理解してもらえたらハードルもグッと下がるかと思います。

今までdsの説明もないのにPhoenixのオンラインショップで革を購入してくれたみなさんにはホントに感謝です (^人^)

 

 

じゃあ、『ds(デシ)』ってどこからきたの?

「デシ」って大人になるとほとんど縁がなくなりますが、小学生の時に授業で習った記憶ありませんか?

「dL(デシリットル)」

体積の単位で小学校2年生の算数の授業で習ったかと思います。

余談ですが、僕たちが小学生だった頃は「リットル」を「ℓ」と書いていましたが、今は「L」で統一されてるそうです。

そんなこんなで、思い出していただけたでしょうか?w

その『d(デシ)』が革の面積の単位の『ds(デシ)』の正体です。(いきなり結論出た⁉︎w)

 

どういうことかというと、

「1L(リットル)= 10dL(デシリットル)」です。

つまり『d(デシ)』は「1/10」を表す記号なんです。

分かりやすい例で言うと、

「1m(メートル)= 100cm(センチメートル)」ですよね?

で、『c(センチ)』は「1/100」を表す記号です。 分かりますよね?

ここに『d(デシ)』を入れるとこうなります。

「1m = 10dm = 100cm」

で、「1dm = 10cm」ということが分かります。

『dm(デシメートル)』ってなかなかお目にかかれない単位ですが、正式に存在する単位なんです。

よって「10cm × 10cm」は「1dm × 1dm」となり、

「1dm × 1dm = 1d㎡(平方デシメートル)」となります。

 

この『d㎡』、どこかで見覚えありませんか?

革を買ったことがある人だったら、お目にかかってる可能性があるのですが…

 

これです。

ねっ⁉︎

ここにちゃんと正式な表記があるんですw

『ds(デシ)』の正体は、「d㎡(平方デシメートル)」の略称なんです。

革業界が勝手に作った単位ではなく、世界共通(メートル法)の単位が元となった略称だったんです。

 

 

じゃあ、なぜ『ds』と表記するのか?

ただ、「デシリットル」や「デシメートル」の「デシ」は『deci』と書くので、どうして『ds』と表記するようになったかは定かじゃないんです。

ちなみに、仮説は2通りあります。

一つ目は、先に「デシ」という呼称ありきで、「デシ」という言葉をアルファベットで表そうとした時に頭文字をとって『ds』となった。

これは、なんとなく革業界で起こり得そうなことかなと思いますw

二つ目は、「平方デシメートル」を英語で表記すると、「square deci-meter」となり、「デシメートル」の「スクエア(平方)」だから『ds』となったのかなと。(ちょっと強引w)

業界の先輩方に尋ねてみても明解な回答が返って来ないんですよね。

個人的には前者じゃないかなぁって思ってます。

 

 

おまけ — 海外ではどうなの? —

ここからは余談になりますが…

アメリカとイギリスではこのメートル法が普及おらず、ヤード法が用いられています。

なので、うちの取扱い革でいうと、HORWEEN社のクロムエクセルなんかがアメリカの革なんですが、「sq.ft(スクエア フィート)」という単位が使われています。

「1sq.ft」をDSに換算すると9.29dsになります。(30.48cm × 30.48cm ÷ 100 = 9.29ds)

 

イギリスは入り混じっています。

J & FJ BAKER社のハーネスバックは「sq.ft」です。

でも、CHARLES・F・STEAD社のスーパーバッククードゥーなんかは「d㎡」です。

個人的には、商売スタンスの違いが出ていて興味深いなぁと思ってます (^ ^)

 

あと、イタリアは、「㎡(平方メートル)」で表記されていることが多いです。

主に植物タンニン鞣し協会に属してるタンナーさんに見られる傾向かもしれません。

これは換算が簡単です。「1㎡ = 100d㎡」です。

なぜ、「㎡」が使われているかと言うと…

これは私の推測ですが、輸出の際の通関手続きに用いられる単位が「㎡」だから、始めからそこに合わせてあるんじゃないかなと思います。 要は、「私たちはガンガン国外に打って出ますよ。だから、いちいち換算しなくていいようにしとこうね」っていうことなんじゃないかなって思ってます。イタリアの植物タンニン鞣し協会は早い段階で世界戦を意識していたってことですよね。 賢いなと思います。

 

ちなみに、香港の展示会に出展した時に、「ds」はあまり通じません ^_^;

ds単価を言っても、「sq.ftだといくらなの?」って返されることのまぁ多いこと。。。

どうして革業界はヤード法の方が強いんだ?

 

 

 

おまけのおまけ — ちょっと歴史を遡ってみたり —

そもそもなんでアメリカはメートル法が普及してないのか?

ある方が面白い話を教えてくれたので覚えてる限りビャーッと書いてみます。

当時(1700年代)世界では国によって様々な単位で長さや重さを測っていましたが、人間の行動範囲が広くなり主に商取引などで弊害が多発していて、「いちいち換算するのも面倒だし、世界共通の単位を作ろうよ」って話が持ち上がって、「じゃあ作ろう!」ってことで、アメリカ、フランス、イギリス(もかな?)なんかが立ち上がって、議論を始めたんだけど、なかなか決まらない。多分、国のプライドとかもあったのかな?(推測)で、全然進まないから、フランスが単独で(強引に?)メートル法を作っちゃった。それでへそを曲げたアメリカはメートル法に参加する意思だけは示しつつも、国内のメートル法の普及に力を入れなかったんだって。で、フランスも気を遣って、アメリカに対し多少の自由を与え、アメリカは「metre(メートル)」を「meter(メーター)」、「littre(リットル)」を「litter(リッター)」として使うことにしたんだとか。結局ほぼ使ってないんだけど。。。 むしろ日本人の方がよく使ってそうw で、イギリスもへそ曲げたんだけど、周りの国がどんどんメートル法を使い出すと自分の国も使わないわけにもいかず、対外的にはメートル法を使い、国内ではヤード・ポンド方を使ってるらしい。 大変そう… だから、スーパーバックとハーネスバックは製造国は同じなのに表記のしかたが違うんだね。

この話、どこまで信憑性があるかは分からないけど、いろいろと辻褄は合ってて面白いなと思ったので書いてみました。

ちなみに、日本では1959年にメートル法が施行され今に至りますが、それ以前は革業界では尺貫法で「坪 (つぼ)」という単位を使って革の大きさを表していたそうです。なので、今も革の面積を測定する機械のことを「坪入れ機」と呼ぶ人が多いです。で、1坪は1尺四方で、1尺が30.3cmなので、30.3cm × 30.3cm =9.18DS となるんですが、これって前述のsq.ft(スクエアフィート)とすごく近い! とびっくりしたのですが、冷静に考えたら近いことには何の意味もないなと… (−_−;) だからこそメートル法を作ったんですよねw

 

 

おまけのおまけのおまけ — もはやDSの話関係なくなってる —

小生、マラソンなどに参加した経験を持つのですが、人生初のフルマラソンがハワイのマウイマラソンでして、ちんぷんかんぷんで参加したんですが、距離を表示する標識が「km」じゃなくて「mile(マイル)」だったことにやり場のない殺意を覚えたことを、これを書いてて思い出しましたw

アメリカもへそを曲げずにメートル法を使って欲しいし、世界の革業界にもメートル法が浸透して欲しいと切に願っています。

次の香港の展示会では、

「sq.ftだといくらなの?」って聞かれても、「It should be calculated by you.」と言ってやろうw

 

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4 thoughts on “革の『 ds/デシ』とは?【これで革の買い方も分かる】

  1. D

    こんにちは、コメント失礼します。
    コードバン探しからやってきました。まさにDSやSF表記が分からなくて色々調べて大体の理由は分かったのですが、ひとつ分からないことがあります。
    コードバンの形は細長いのもあれば三日月のように曲がっていたり端が尖っているのもあり、真四角ではなくいびつな形をしているものが多いですよね。
    面積の計算をするときに、単に最大横幅×最大縦幅ではじき出された数字を採択するのか、それとも実際の面積、ようは精密な面積を自動的に計算できる測定機器を用いて測定をするのか、どちらなのでしょうか?

    返信
    1. l-phoenix 投稿作成者

      コメントありがとうございます。
      革の面積は、「革計量機(坪入れ機)」という機械で測定するのですが、ピンホール式と光電管式の2種類あります。
      ピンホール式は、外側に一定間隔で突起を持つローラーが回転し、その下を通過する革の形状を突起で判別して面積を測定します。
      光電管式は、光源と受光部との間を通過する革によって遮断された光束量から革の面積を測定します。
      つまり、実際の面積を測定しているということです。
      参考になれば幸いです。

      返信
    1. l-phoenix 投稿作成者

      ご理解いただけたようでよかったです。
      また何かご質問等ありましたら、遠慮なくご質問ください。
      引き続きよろしくお願い致します m(_ _)m

      返信

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