わくドキ!初めてのタンナー見学 春の3社弾丸バスツアー ~新喜皮革編~


花粉がつらい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?

フェニックスの荒ぶるオタク担当、木下です。

先日、ちゃんひろちゃんがまとまりのあるとても読みやすく村木さんのイラストがプリティーなタンナー見学についてのブログを上げてくれてたのでもはや私の感想必要ないのでは!?と思いつつ見学に行ったタンナーさんが違うのでとりあえずアップしとこうと思います。

早速本題なのですが、タイトルにもある通り村木さん主催のタンナー見学バスツアーに参加してまいりました!

なんと今回3社も巡る激熱ツアー。
 今回のバスツアーでお邪魔するタンナーは、新喜皮革さん、山陽皮革さん、吉川皮革工業所さんです。

 最初の会場、新喜皮革さんまではスムーズにいって15分ほどとのことで、その間に予習タイム。
新喜皮革さんは創業60年を超えるタンナーで、主に馬革を扱っていてコードバンが有名です。
コードバンはお尻の部分なのでお腹側は、クロム鞣しやドラムでのタンニン鞣しのホースハイド
として生産されています。
新喜皮革さんに向かう途中に川に差し掛かったんですが、この川の水がとても重要で、鞣し作業には大量に水を使うので川の近くにタンナーさんがあることが多いようです。
今回お邪魔する新喜皮革さんの近くにも山陽皮革さんの近くにも市川という大きな川が流れているのですが、新喜皮革さんの近くは硬水(革は硬めの仕上がり)、山陽皮革さんの近くは軟水(革は柔らかめの仕上がり)と水質が違うらしくそのミネラル分の含有量の差で革の仕上がりに違いが出るとか。
マップで見ると同じ市川なのに成分が変わる不思議。
 意外と渋滞もなく、スムーズに到着。
この日はレザーフェスティバルというイベントが行われており、皮革材料の販売などがあると聞いていたのですが、活気がすごい!人があふれている!!
 会場の中は、材料販売スペースと物販・飲食スペース、あと謎のステージに分かれていて
 会場にはMCがいてショップスタッフにインタビューしている。
今回、私はブログを書くことを前提に参加させてもらっていたので写真とかめっちゃ撮るぞ!と意気込み十分だったんですが、これは写真撮って一般のお客様に配慮してモザイクいれたら天井しか残らない写真になるなと断念。
作り手さんが材料目当てに来るのかなと思っていたんですが、物販の方にもお客様たくさんで本当にちょっとしたフリーマーケットやマルシェのような雰囲気。
革や作ることに特に興味がなくても遊びに行けるっていいなぁ。
 

さて、本題のタンナー見学の始まりです!

 

注意事項を聞きながら工場見学さながら建物内へ進むと、入ってすぐドラムがドーンと4つも並んでいる!木製らしいのですが、長年のいろんな薬品などが染みついているのでよく見ないと何で出来ているのか分からない。年季を感じます。残念ながらこの日は止まっていました。
1度行ったことがある人から聞いたところ、匂いとか気になる人はしんどいかもとのことでちょっと不安だったのですが、まぁまぁ大丈夫でした。全然気にならないというと嘘になりますが、我慢できないほどではなかったです。
村木さんいわく、加脂の際に使われる魚油の匂いだとか。確かに何かの革で嗅いだことがあるような気がする。
 でっかいドラムの前で、タンニン鞣しの基本的な説明やタンニンの種類(コードバンに使われているのはミモザでした)、どれくらいの期間がかかるのか(なんとコードバンは2から3ヶ月もピット槽に漬け込むとか)というお話、なるべく分かりやすく平易な言葉を選んでお話してくださるので、革とは…?みたいな興味ない人でも理解を深めることが出来るんじゃないかと思います。
そして2階へ…階段を上っていると足元にピット槽が!落ちないけど落ちたらどうしようとか思いながら2階に上がると意外と何もない…と思ったら天井からぶら下がるおびただしい数のコードバン!これ全部でおいくらまんえんとか考えてしましますね。
どうやら乾燥工程のようで、オーソドックスな扇風機が革を揺らしていました。
(そこ扇風機なんや)と思いました。
 
そして奥のテーブルで再度説明タイム。コードバンについて詳しく教えてもらいました。
フェニックスのブログを読む皆さんはもうご存知かなと思いますが、一応レポートなのでコードバンについておさらいさせてもらいますね。
コードバンは吟面でも床面でもなく、その間に存在するコードバン層という緻密な繊維層だけがコードバンになるんだそうで、削るまではどこにどれくらいの面積、厚みで存在するのか分からないまさに革の宝石。
どんなに熟練の職人さんでも削ってみるまでコードバンがどれくらいあるのか分からないそうです。
ちなみに、なぜかは分からないそうですがシマウマはお尻の部分だけでなく腹部までコードバン層があるらしいです。コードバンの金脈!家畜には向かないそうなので一般に出回ることはまずなさそうですがロマンを感じます。
ここで素上げ状態のコードバンを触らせていただいたのですが、確かにコードバン層とそうでない部分は手触りが違う!
 実際に工程途中の革に触れるなんてタンナー見学の醍醐味です。質問タイムなんかもあって何でも答えてもらえるし、なんでも触らせてもらえました。
もっとここは写真NG!とか勝手にうろうろしない、触らない!とか言われるかと思ってたんですが、薬品類は写真撮らないでねという最初お達しぐらいであちこち撮影させてもらえました。

 

 

撮影タイムが終了すると次はクロム鞣しの現場へ。クロム鞣しの建物は隣にあったんですが、全然匂いが違う!というかタンニン鞣しの施設の匂いがなかなかだったのでほとんど匂いを感じませんでした。恐るべし魚油の香り。
こいつ、動くぞ!ということでクロム鞣しのドラムは動いており、回転しているところを見られたんですが、思ったより回転が早い。パワフル!
回転するドラムをガン見していると登場したのは工場長さん。クロム鞣しについての基本的な説明からコードバンのクロム鞣しがない理由(特殊な繊維層がクロム鞣しのドラム工程で壊れてしまうとか)、クロム鞣しの馬革の特徴(引き裂き、熱に強くソフトで軽い)、タンニンとクロムの良いところ、不便なところ、染色の難しさ、加脂の効果などなど職人さんの経験や腕が反映される作業なんだなということが伝わってくるお話でした。
 
そして最後にコードバンのグレージング加工を目の前で実演してもらえました。
初めて見たんですがグレージングの機械こんなコンパクトなの?缶コーヒーかワンカップかという大きさのガラスの円柱が取り付けられているんですが、瞬く間にグレージング加工されていくコードバン。もっと時間がかかるのかと思ったんですが、流れるように革を動かして均一に艶が入っていきます。
グレージングほやほやの革も触らせてもらいましたが、さらさらのつやつやですごいぜガラス棒。

 

 

コードバンは原皮として仕入れてから革として出荷できるまでに半年以上かかり、原皮にはお尻の部分だけでなくホースハイドというお腹の部分もあるのでこちらもどんどん売っていかないとコードバンを作ることが出来ません。本当に貴重な革なんだなぁと改めて実感しました。
日本で安定してコードバンを供給できるのは、今のところ新喜皮革さんのみ。今後もますますの活躍に期待が高まります。
めっちゃ長くなりましたが、これでもだいぶカットしました。ディレクターズカット版です。
次回は山陽皮革さん編になりますが、反響がないと打ち切りの可能性もありますのでちょっとでも面白かったと思った方は吉川の兄貴に一言いただけると幸いです。えぇ、編集長です。

 

 

では、続けられたら山陽皮革編でお会いしましょう!

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