オイルヌメが変わります


こんにちは。革担当の横井です。
今日は、当店でも人気トップ5には入る革『オイルヌメ』についての
お知らせです。

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オイルヌメのウラ側

 

ある日のお客様の何気ない一言からそれは始まりました。

「オイルヌメって3.0ミリあってもどうせ漉くもんなぁ…」

うむ、たしかに当店のオイルヌメは北米原皮を使ってコシを持たせて厚く作ってますが、
お客様の約9割が購入後に漉きを依頼されます。

 

少し話が逸れますが、雑に言うと、
分厚い革は高いという傾向にあります。
分厚い革を作ろうと思うと、当然分厚い原皮が必要になる訳ですが、
その分厚い原皮が高価なのです。
(革を膨らませるという裏技もありますが、個人的には邪な技術だと思ってます)

当店のオイルヌメも3.0ミリ厚を安定的に用意する為に、
北米産の原皮を使用し鞣し後に3.0ミリにする事で安定的な厚みを確保していますが、
その分、1DSあたり150円(税込)という価格になってしまっているわけです。
(もちろんその他にも職人さんの技術が詰まっての価格です)

薄くする代わりに安く出来ない?

 

値段の高い分厚い革を買っても結局漉くんじゃちょっと損した気分になりますよね。
そこでオイルヌメを作ってもらってるタンナーさんに相談をば

***********

よ「2ミリくらいでいいからオイルヌメを安く作れないもんです?」

タ「Phoenixさんはいつも無茶言うねー。
革を硬くとか、柔らかくはある程度加工でどうにでも出来るけど
あのオイルヌメ表情を残したままとなると即答は出来ないね、簡単じゃないよ」

よ「うむむ」

タ「安くとなると内地(国産)原皮を使う事になるけれども、
それを2ミリにしてあのコシとかを残すとなると、やっぱり何かしら加工せにゃね」

よ「2ミリで内地原皮だとウチで言うとソフトヌメがまさにそれだね、
たしかに名前の通りソフトな仕上がりですな」

タ「まぁ、タンナーの腕の見せ所ですわな。なんとかやってみましょうか」

***********

 

でも3㎜厚の需要もあるんです

 

そんなタンナーさんとのやり取りをしてはみたものの、
1割のお客様は元厚で買って頂いている訳で…。
それをマイノリティーと切り捨てる非道さは我々にはありません。

①9割のお客様に少しでも喜んでもらえるよう、
あらかじめ薄いオイルヌメを用意して値段をお安く提供する。
でも1割のお客様は泣いちゃう

②1割のお客様を悲しませないよう、現状を維持する。
でも9割のお客様の要望を無視しちゃう。

そんな2択でうんうんうんうん悩んでおりましたところ、
先輩よりすごい一言が。

 

「両方やったらええやん」

 

うん、そうします。

 

「どうせなら3.0ミリの方もバージョンアップさせようや」

 

言うは易し…orz

オイルヌメはバージョンアップします

 

そんなわけで、オイルヌメはバージョンアップします。

1   厚みを2ミリ程に抑え、価格も抑え、旧来のオイルヌメの表情を踏襲したもの

をまず作ります。
こちらは着々と準備が進んでおり、1月のリリースに向けて調整中です。

2 昭南皮革のヌメ革をベースに使用し、旧来よりもコシの詰まった極上の色ヌメ

もやります。
どちらかと言えばこちらの方が現行のオイルヌメを踏襲したものになります。
革質がバージョンアップする代わりにお値段もバージョンアップしそうですが…。

こちらはやはりゼロベースになりますので少し時間がかかっておりますが、
なるべく早くリリースできるよう東奔西走中です。
個人的にはこちらの革の仕上がりがどうなるのか。ワクワクが止まりません。

 

色革の話をするとよく聞かれる話

 

補足ですが、これら2種類の革はともに芯通しではありません
色革や染色の話をお店でするとよく芯通しについて聞かれますが、
ソフトヌメやオイルヌメ、イタリアンソフトなどのフェニックスオリジナルレザーは
芯通しではありません。

私、横井も恥ずかしながらレザークラフトを嗜みますが、
芯通ししている革の方が作るのは楽だと知っています。
コバの染色は必要ないし、漉いたときに床面がもともとの色と同じだと色々楽です。

にも拘らずなぜPhoenixのオリジナルレザーは芯通しではないのか?

教えて村木さん!

ム「大昔にブログに書いてたわよ、たしか。どれどれ・・・
あぁこれだわ。→《革》そもそも芯通しってなに?

よ「2011年!えらい昔に書いてますね」

ム「まぁ、レザークラフトやってりゃ一度はひっかかるからね。
ここにも書いている染料のコスト以外にも乾燥時間が余計にかかったり、
Phの調整に手間がかかったり、芯通しはそうでないものと比べるとコストがかかるねぇ」

よ「個人的には芯通しの革のほうがパサついた印象があるんですが…?」

ム「パサつきとの因果関係は何とも言えないけども、【革】に【染料】という
異物が入る訳だから、革本来の素材感からは遠くはなるよ」

よ「ふむふむ。やはり革本来の素材感を大事にしているPhoenixだからこそ
あえて芯通しはしていない、という考え方ですね」

ム「ま、芯通しが悪いというわけではないけどね。
それぞれの良さ悪さがあるさ〜」

 

ということですので、ご参考までに。
新しい革の進捗についてはまた随時このブログなりfacebookで
ご報告致します。

 

過去の関連blog:


4 thoughts on “オイルヌメが変わります

  1. みき

    《革》そもそも芯通しってなに?

    >使う染料の量が倍じゃすまない=乾燥時間に時間かかる
    とありますが、原理が理解できません。

    もう少し詳しく説明していただけませんか?

    返信
    1. l-phoenix 投稿作成者

      おや、みきさん

      幸いにも匿名でなしに助言していただける方々もいらっしゃるのでそれを踏まえた上でまた新しく書き直します。
      たつの市ならばまたお会いしたいものですね

      返信
    1. l-phoenix 投稿作成者

      あぁ、すいません。
      「また”いつか”お会いしたいものですね」という意味です。
      多分私はみきさんがみきさんとわからないかもしれないがお目にかかることあると思います。
      今年くらいには。

      返信

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